はじめに
ICL(眼内コンタクトレンズ)手術は、自由診療のため保険適用外となり、全額自己負担になりますが、その分【医療費控除】の対象となります。この記事では、ICL手術後に医療費控除をe‑Taxで申告する手順と、実際にどの程度の還付金が期待できるのかを分かりやすく解説します。
※2025年2月時点の情報になります。
1. ICL手術と医療費控除の基本
ICL手術の特徴
- 自由診療:公的医療保険の適用外のため、全額自己負担となります。
- 手術費用:クリニックによって異なりますが、たとえば両眼で70万円前後が目安となることが多いです。(例:屈折値や乱視の有無により費用は変動します)
医療費控除の概要
- 控除対象:
1年間(1月~12月)に支払った医療費が、自己負担額が10万円(もしくは総所得金額が200万円以下の場合は所得の5%)を超えた場合、その超えた分が控除対象となります。 - 計算式:
医療費控除額 = 支払った医療費の合計額 - (保険金などで補填された金額がある場合はその額) - 10万円
※補填がない場合、ICL手術費用から10万円を引いた額が控除対象となります。
2. e‑Taxでの確定申告の流れ
e‑Taxを利用すると、自宅からインターネット上で確定申告書を作成・提出でき、税務署へ出向く手間が省けます。以下は大まかな手順です。
- 必要書類・アイテムの準備
- 必須
- 【源泉徴収票】(会社員の場合)
- 【マイナンバーカード】
- 【マイナポータル】(スマホアプリ)
- パスワードを忘れてログインできない場合:link
- できたら
- 【医療費の領収書】または【医療費通知(健康保険組合から送付される場合)】
- マイナポータルに健康保険証が連携されている場合は、ICLの領収書以外は不要になります。
- 【医療費控除の明細書】
- 【医療費の領収書】または【医療費通知(健康保険組合から送付される場合)】
- 必須
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセス
- e‑TaxのWEB版にログインし、画面の指示に従って必要事項を入力します。
- スマホからアクセスをしましょう、本人確認の時にマイナポータルのアプリを開くのですが手間が省けます。
- e‑TaxのWEB版にログインし、画面の指示に従って必要事項を入力します。
- 源泉徴収や医療費控除の入力
- 基本は手順通り進めていけば問題ありません。
- 「医療費控除」については、ICLで利用した金額だけ記載をする必要があります。
- 申告書の確認・送信
- 入力内容に誤りがないか確認したら、電子申告(e‑Tax)で申告書を送信します。送信後、還付金の処理状況はe‑Taxのマイページから確認可能です。
- 迷惑メールが届く可能性もあるので、正しいメールアドレスかどうかは確認するようにしましょう。
e-tax.nta.go.jp
3. 還付金の計算例
還付金は、医療費控除額に対して、【所得税】と【住民税】の税率がそれぞれ適用されるため、以下のように計算されます。
基本の計算式
- 医療費控除額 = (ICL手術費用 - 10万円)
- 所得税からの還付金 = 医療費控除額 × 所得税率
- 住民税の控除 = 医療費控除額 × 住民税率(一律10%)
※なお、所得税率は課税所得額によって変動します。
具体例
【例】年収400万円の方がICL手術費用70万円を支払った場合(所得税率5%の場合)
- 医療費控除額 = 70万円 - 10万円 = 60万円
- 所得税からの還付金 = 60万円 × 5% = 3万円
- 住民税の控除 = 60万円 × 10% = 6万円
- 合計控除額 = 3万円 + 6万円 = 9万円
【例】年収800万円の方(所得税率20%の場合)
- 医療費控除額 = 70万円 - 10万円 = 60万円
- 所得税からの還付金 = 60万円 × 20% = 12万円
- 住民税の控除 = 60万円 × 10% = 6万円
- 合計控除額 = 12万円 + 6万円 = 18万円
このように、所得状況によって還付金額は変わります。ご自身の源泉徴収票や課税所得額をもとに正確に計算することをおすすめします。
注意:ふるさと納税や定額減税などの他の減税措置がすでに税額を圧縮していると、医療費控除で差し引ける税金もその分少なくなり、結果として還付額が想定よりも低くなる可能性があります。
4. まとめ
ICL手術は高額な自由診療ですが、医療費控除を利用すれば、支払った費用の一部が所得税および住民税から控除され、結果として還付金が受けられる可能性があります。
- 準備:領収書や医療費通知、源泉徴収票、マイナンバーカードを用意し、医療費控除の明細書を作成する
- 申告:国税庁のe‑Taxを利用して、オンラインで申告手続きを完了する
- 還付金の目安:手術費用70万円の場合、所得税率により還付金は約9万円~18万円程度となる可能性がある
ICL手術を検討中、またはすでに手術を受けた方は、忘れずに医療費控除の申告を行い、節税のメリットを享受しましょう。わからない点は税務署や専門家に相談することもおすすめです。申請の都合上、費用の精算は同じ年(1月-12月)中で実施する方が良いかもしれません。
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