はじめに
AIの進化に伴い、誰でも簡単にカスタムAIエージェントを作成できる環境が求められています。本記事では、オープンソースLLMOpsプラットフォーム「Dify」を使って、初心者でも分かりやすくエージェントを作る方法をステップバイステップで解説します。
Difyとは?
Difyは、AI開発者向けに作られたオープンソースのLLMOpsプラットフォームです。プログラミング知識がなくても、以下の特徴を活かして手軽にAIアプリケーションが作成できます。
- ノーコードで簡単にアプリケーション作成
- 最新のLLM(GPT-3.5、GPT-4、Claudeなど)に対応
- 直感的なインターフェース
- APIとしての利用も可能
- データセット管理機能
Difyの活用例
Difyを使うと、様々な分野でAIエージェントを活用できます。具体例を以下に示します。
- カスタマーサポート
- 24時間対応の問い合わせボット
- FAQ自動回答システム
- 商品レコメンデーションボット
- 社内業務効率化
- 社内規定の問い合わせ対応
- 新入社員向けオンボーディング支援
- 営業資料作成サポート
- 教育支援
- 個別学習サポートボット
- 課題添削アシスタント
- 学習進捗管理ボット
- コンテンツ作成
- ブログ記事の下書き生成
- SNS投稿文の自動生成
- 製品説明文の作成
AIエージェント作成の基本ステップ
1. プロジェクトのセットアップ
まずはDifyにサインアップし、新しいプロジェクトを作成しましょう。
- Difyへの登録
- Difyのホームページにアクセス
- 「始める」ボタンからサインアップ
- 新規プロジェクトの作成
- 「最初から作成」を選択してプロジェクトを開始
- 「チャットフロー」を選択し、アプリ名を入力して「作成する」をクリック
- 表示されたポップアップを閉じ、初期設定完了
- プロジェクトが正常に作成されたことを確認
- 「最初から作成」を選択してプロジェクトを開始
- プロジェクトのテスト
- 「プレビュー」をクリックしてテスト画面を表示
- チャット機能を実際に使い、正しく応答するかテスト
- 応答が返ってくることを確認
- 「プレビュー」をクリックしてテスト画面を表示
2. LLMモデルのセットアップ
初期状態ではOpenAIのフリープランで利用できますが、より高度な設定を行いたい場合は、以下の手順に沿ってモデルをセットアップしてください。
- アカウント設定にアクセス
- トップ画面右上の「アカウントタブ」をクリック
- 「設定」を選択
- トップ画面右上の「アカウントタブ」をクリック
- モデルプロバイダーの設定
- 「モデルプロバイダー」から使用するモデル(例:OpenAI)を選択
- API Keyを入力してモデルを有効化(有料モデルの場合は料金が発生します)
- 「モデルプロバイダー」から使用するモデル(例:OpenAI)を選択
OpenAI API Keyの取得方法
- OpenAIのアカウントを作成
- ダッシュボードにアクセス
- 「API Keys」セクションで新しいキーを生成
- 生成されたキーを安全に保存
API利用時の注意事項
- 使用量に応じた料金が発生します
- 初期開発では、低コストのGPT-3.5モデルを利用するのがおすすめです
- 無料枠を超えると自動課金されるため、利用上限の設定が重要です
セキュリティのポイント
- API Keyは厳重に管理し、第三者に漏れないよう注意しましょう
- 機密情報を取り扱う際は、データ保護ポリシーを必ず確認
- テスト時は本番データを使用しないようにしましょう
3. 「チャットフロー」の使い方
「チャットフロー」ブロックでは、ユーザ入力からAI応答までの流れを視覚的に設定できます。各ブロックの役割は以下の通りです。
- テンプレート
- 開始ブロック
- ユーザ入力や「入力フィールド」(変数)の設定が可能で、次のブロックにデータを渡します
- ユーザ入力や「入力フィールド」(変数)の設定が可能で、次のブロックにデータを渡します
- LLMブロック
- プロンプトや変数を利用してAIに回答を生成させるブロックです
- 簡単な操作でモデルの切り替えも可能です
- プロンプトや変数を利用してAIに回答を生成させるブロックです
- 回答ブロック
- 前のブロックから受け取ったデータを最終的なチャットボットの回答として表示します
- 前のブロックから受け取ったデータを最終的なチャットボットの回答として表示します
- ブロックの追加
- UI上でノード(接続線)をクリックし、他のブロックやツールを追加可能です
- UI上でノード(接続線)をクリックし、他のブロックやツールを追加可能です
ブロック間の接続方法
- 各ブロックの接続点(ノード)をクリック
- 接続したいブロックまでドラッグして線を引く
- 線が表示されれば接続完了
接続時の注意点
- 循環参照を作らないように注意
- 正しい順序でブロックを接続する
- 変数の受け渡しが正確か確認する
変数集約器の役割
- 複数のブロックからのデータを一元管理
- 各LLMの回答をまとめ、後続処理に使いやすい形に整形
4. AIエージェントの作成
ここまでの設定を踏まえて、実際にAIエージェントアプリを作成してみましょう。ここでは、ペット飼育に関するアドバイスを複数のエージェントから提案するアプリの例を紹介します。
- 作成内容
- ペット飼育に関する複数のAIエージェントからの提案を統合し、最適なアドバイスを提供するコンサルティングアプリ
- 完成例の流れ
- チャットフロー全体の構成例
- テスト実施: 変数を設定して初回回答を確認
- 1回目の回答確認
- 2回目の回答確認
- チャットフロー全体の構成例
- 詳細設定
- 「開始」ブロックでユーザ入力項目を設定
- 「IF/ELSE」ブロックで初回かどうかを変数で判定
- 「LLM」ブロックで、ユーザ入力を元に各エージェントが提案
- 「変数集約器」ブロックで各エージェントの回答をまとめる
- 最終「LLM」ブロックで、集計結果から最終回答を生成
- 「初回回答」ブロックで初回の回答を表示
- 「変数代入」ブロックで各変数に値をセットし、2回目以降の処理に備える
- 2回目以降の回答生成用「LLM」ブロック
- 「開始」ブロックでユーザ入力項目を設定
5. トラブルシューティング【新規セクション】
よくあるエラーとその対策
- API接続エラー
- API Keyを再確認する
- ネットワーク接続をチェックする
- APIの利用制限を確認する
- レスポンスタイムアウト
- 処理を分割して実行
- 軽量なモデルを使用
- タイムアウト設定を調整
- 変数エラー
- 変数名やデータ型を確認する
- 必須項目が設定されているか再確認
6. 発展的な使用方法
- 外部APIとの連携
- データベースとの連携
- Webhookの活用
- 他のAIサービスとの統合
- プロンプトエンジニアリング
- より精度の高い回答を得るための工夫
- コンテキスト設計のベストプラクティス
- システムプロンプトの最適化
7. リソースとサポート
- 公式ドキュメント: https://docs.dify.ai/
- GitHub: https://github.com/langgenius/dify
- 開発者Discord: https://discord.com/invite/FngNHpbcY7
まとめ
Difyを利用すれば、専門知識がなくても高度なAIエージェントを構築できます。基本設定から始め、徐々に機能を拡張することで、ニーズに合わせたカスタマイズが可能になります。
※注意: 本記事は2024/12/31時点の情報に基づいています。Difyの機能や仕様は随時更新されるため、最新情報は公式サイトやリポジトリでご確認ください。
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