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記述統計の基礎:データ要約術

統計

はじめに

 記述統計は、大量のデータをシンプルな数値やグラフで要約し、全体像を把握するための基本手法です。ビジネスレポートや品質管理、アンケート分析など、様々な場面でデータの特徴を直感的に理解するために活用されています。
 本記事では、基本的な指標の計算方法とその実践的な利用法、注意すべき点を詳しく解説します。

記述統計の基本とその役割

  • データの全体像把握:
    大量のデータを一目で理解できるように、平均、中央値、分散、標準偏差などの指標を用います。
  • 分布の可視化:
    ヒストグラム、箱ひげ図、散布図などのグラフを活用し、データの偏りや外れ値、分布の形状を視覚的に表現します。
  • 探索的データ解析(EDA)の第一歩:
    分析前のデータ理解を深め、次の分析手法を選定するための基礎作業として非常に重要です。

基本指標とその計算例

以下の例は、テスト得点のデータを用いた平均、中央値、標準偏差の計算例です。

import numpy as np

scores = [72, 85, 90, 65, 88]
print(f"平均: {np.mean(scores):.1f}")
print(f"中央値: {np.median(scores)}")
print(f"標準偏差: {np.std(scores):.1f}")
# 出力結果
平均: 80.0
中央値: 85.0
標準偏差: 9.8
  • 解説:
    • 平均: 全体の中心的な傾向を示すが、外れ値に敏感です。
    • 中央値: 外れ値の影響を受けにくく、データの中心をより堅牢に表現。
    • 標準偏差: データの散らばり具合を示し、ばらつきの大きさを定量化します。

より深い分析のためのアプローチ

  • ヒストグラムや箱ひげ図の活用:
    分布の形状や外れ値の有無を確認し、データが正規分布に従うかどうかの仮定を検証します。
  • 四分位範囲(IQR)の算出:
    データの中央50%の範囲を示す指標として、ばらつきや異常値の検出に役立ちます。
  • データの正規性検定:
    シュピアマン検定やシャピロ・ウィルク検定などを使って、分布の正規性を確認することも実務上有用です。

応用例と実務での活用シーン

  • 営業報告書:
    売上データや業績データを要約し、短時間で全体の動向を把握。
  • 品質管理:
    製造工程における測定値の分散を評価し、工程管理や改善策の立案に活用。
  • アンケート分析:
    顧客満足度やサービス評価など、複数の指標を統計的に要約し、意思決定の根拠とする。

まとめ

 記述統計は、膨大なデータをシンプルな指標に落とし込み、その全体像を把握するための基本中の基本です。各種指標の計算方法やグラフ化手法を習得することで、データ解析の第一歩を踏み出すことができます。まずは身近なデータセットを使い、実際に数値を算出しながらデータの性質を理解していくことが、後の高度な分析へとつながります。

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